PCに適したCPUクーラーの選び方
パワフルなプロセッサーに弱いクーラーを組み合わせると、どうしても性能を十分に引き出せなくなります。
プロセッサーをフル負荷で動作すると大量の熱が発生するため、熱を効率よく放散する必要があります。適切に冷却されない場合、CPUは過熱を防ぐために大幅に速度を落とします。これは「サーマルスロットリング」と呼ばれる、できれば避けたい現象です。
CPUのTDP要件について理解する
すべてのCPUには、そのCPUが発生させる熱の目安となる定格熱設計電力(TDP:Thermal Design Power)が設定されています。プロセッサーのコア数が多く、クロック速度が高いほど発熱量も増え、TDPも高くなります。
同様に、CPUクーラーにも定格TDPが設定されており、これはクーラーがチップから逃がすことができる熱量を示しています。実際の性能は、ベンチマークのほうが信頼できることが多いですが、多くのユーザーにとって、TDPはCPU用のクーラーを選ぶ際に参考にできる手軽で分かりやすい判断材料となります。フル負荷時でも安定した静音冷却を確保するためには、CPUのTDPをわずかに上回るTDPを持つクーラーを選ぶのが基本的な目安となります。
実際の例を確認してみましょう。Intel Corei5 14600Kは、ゲーミングPC向けのミドルクラスCPUとして人気があります。このプロセッサーの定格TDPは125Wとなっていますが、実際のゲームプレイ時には181Wまで上昇することがあります。
CPUクーラーのタイプ
CPUクーラーは主に、空冷とAIO(オールインワン)水冷クーラーの2タイプに分類されます。空冷クーラーには、CPUに密着した金属製ベースプレートが備わっており、間には熱伝導性ペーストが塗布されています。CPUから発生した熱は、ペーストを介してベースプレート内の銅製ヒートパイプへと伝わります。これらのヒートパイプが熱をアルミフィンへと運び、ここでファンが熱を外へと排出します。
AIOクーラーも仕組みは似ていますが、銅製ヒートパイプではなくポンプを使用して、太いチューブ経由で液体クーラントをベースプレートからラジエーターへと循環させます。その後、ラジエーターはファンによって冷却されます。
ほとんどのユーザーは、安価で信頼性が高く、多くのCPUに対応できる十分な性能を備えていることから、空冷クーラーを選択しています。しかしながら、空冷クーラーはサイズが大きいため、小型のPCケースには収納できないという課題があります。TDPが最大250WになるIntel Core Ultra 7 265Kなどの高性能CPUの場合、AIOクーラーを使用した方が、より大きなメリットが得られます。
カスタム水冷システムを選択するユーザーもいますが、一部のコアな自作PCユーザーに限られており、見栄えは素晴らしいですが、セットアップやメンテナンスが困難です。
あなたに最適なCPUクーラーとは?
初めてPCを自作しており、『ホロウナイト:シルクソング』のような負荷の軽いインディーゲームや事務作業に利用することを予定しているなら、空冷クーラーを選びましょう。TDP 220Wに対応したMAESTRO PLUS 42SAのような優れた空冷クーラーであれば、Core i5-14600KやRyzen 5 9600Xといったミドルクラスのプロセッサーも余裕を持って冷却できます。
対してAIOは、負荷の高いクリエイティブ系ソフトウェアでの作業や、高解像度・高画質のAAAタイトルのプレイを目的とする経験豊富な自作ユーザーに適しています。Intel Core i7-14700KやRyzen 7 9700X、Core i9またはRyzen 9などのCPUであっても、LEVANTE II 360のようなパワフルなAIOなら十分に対応できます。
ほとんどのプロセッサーは、オーバークロックしてクロック速度と性能を向上させることができますが、その代償として発熱量が増加します。オーバークロックされたCPUは定格TDPを軽く上回るため、オーバークロックを予定している場合は、CPUよりも少なくとも60〜80W高い冷却能力を持つクーラーを使用するのが最善です。