PCケース内の空気圧:正圧・負圧・中立
エアフローはファンの通気口だけでなく、PCケースの小さな隙間や開口部からも流れ込みます。これらの隙間や開口部を通る空気の流れは、ケース内部の空気圧によって決まります。
空気圧には正圧、負圧、中立圧があり、PCの冷却性能やホコリの侵入量に影響します。
ケース内空気圧とは?
PC内部のファンは、向きを変えることで吸気(ケース内に空気を取り込む)または排気(ケース外へ空気を押し出す)に設定できます。これらのファンの数とサイズ、回転速度の全体的なバランスが、ケース内空気圧です。
正圧構成では、吸気ファンの数・サイズ・RPM(速度)が排気よりも高くなるため、PCケース内に入る空気量が出ていく空気量よりも多くなります。この余剰エアフローによって圧力差が生まれ、I/Oパネル周辺などにある開口部から空気が押し出されます。
負圧構成では、排気ファンのほうがサイズ、速度、数が高くなるため、ケース内部の空気圧はやや低下します。吸気ファンから取り込まれる空気量が排気量に追いつかないため、ケースの開口部から外気が引き込まれます。その結果、空気はケース内を素早く通過するようになり、滞留することなく排出されます。
吸気と排気のエアフローのバランスが取れている状態が中立圧です。ケース内の空気圧が外気とほぼ同じになるため、隙間を通る空気の出入りがほとんどなくなり、安定した予測しやすいエアフローが得られます。
ただし、ファンの前にダストフィルターやメッシュを取り付けている場合は、エアフローが低下するので注意が必要です。それでも、PC内部にホコリが蓄積されるのを抑えるため、吸気ファンの前には必ずダストフィルターを取り付ける必要があります。
各タイプの空気圧がもたらす影響
負圧構成では、PC内の空気が高温になる前に素早く排出されるため、冷却性能がやや向上する場合があります。しかしながら、フィルターで覆われていない隙間からは、空気と一緒にホコリも吸い込まれてしまいます。
負圧構成の場合はホコリが多く侵入するため、コンポーネントに蓄積するスピードも早く、冷却性能が低下します。そのため、定期的な清掃を怠ると、この構成で得られる冷却上のメリットが失われます。
正圧構成の主な利点は、ホコリの蓄積が少ないことです。吸気ファンにはダストフィルターが付いているため、ケースの隙間からホコリが吸い込まれることはなく、頻繁に清掃する必要がありません。さらに、わずかに外向きのエアフローがあるため、ケース内部のホコリが外へ押し出される可能性があります。
しかしながら、吸気が排気を大きく上回るような過度の正圧構成では、熱い空気がケース内に閉じ込められてしまい、全体的な温度が上昇します。
中立圧構成は、両者の長所を兼ね備えています。安定した予測しやすいエアフローを維持しながら、ホコリの過剰な蓄積を避けて熱気の滞留を防ぎ、コンポーネントを効果的に冷却します。
最適な空気圧構成とは?
初心者には、中立圧またはわずかに正圧寄りの構成が理想的です。この構成であれば、ホコリの蓄積を抑えながら、ミドルレンジのパーツをしっかりと冷却し、一部のハイエンドパーツにも対応することができます。VALOR AIR PROなどの高エアフローケースであれば、この構成を簡単に実現できます。
もし最上位クラスのパーツをオーバークロックし、AIO水冷クーラーを使用することを検討している場合は、エアフローを綿密に設計することで、冷却性能を最大限高めることができます。このような高性能な冷却が必要な場合には、(前面と上面の両方に)最大360mmのラジエーターを搭載できるSTARKER AIR BTFなどのケースが最適です。